しばらく Azure から離れていたのですが、また触る機会ができたので、直近4年ぶんの主要な変更をまとめて棚卸ししました。 新機能そのものより、**「知らないと事故る廃止・移行系」と「インパクトの大きいもの」**を優先して整理しています。
同じように「久しぶりに Azure に戻る」人のチェックリストとして使えるはずです。
⚠️ 記載内容は執筆時点(2026年7月)の情報です。廃止日や後継サービスの状況は変わることがあるので、実際の移行判断の前に必ず公式ドキュメントで最新を確認してください。
🚨 最優先で押さえる変更#
Microsoft Entra ID(旧 Azure AD)#
2023年7月に Azure AD → Microsoft Entra ID へリブランドされました。呼称が変わっただけで、機能・API・ライセンス・サインインURL・PowerShell cmdlet は据え置きです。
- Conditional Access → Microsoft Entra Conditional Access
- Azure AD Connect → Microsoft Entra Connect
ただしモジュールの世代交代は実害があります。
- Azure AD PowerShell モジュールは廃止(2024年3月)→ Microsoft Graph PowerShell へ移行
- 既存スクリプトが古いモジュール前提だと動かなくなるので要確認
ドキュメントも新旧の呼称が混在しているので、検索するときは両方の名前で当たると早いです。
Application Gateway#
- V1 は完全廃止(2026年4月28日)
- 2023年7月以降は新規顧客が作成不可
- 2024年9月以降は既存サブスクリプションでも新規作成不可
- V2 では TCP/TLS proxy(L4プロキシ)と Autoscaling に対応
既存環境が V1 のまま残っていないか、まず確認したいポイントです。
Application Insights#
- Classic App Insights は廃止(2024年2月29日)→ Workspace-based App Insights へ
- 未移行リソースは2024年5月から自動的に段階移行された
- Instrumentation Key の ingestion サポートは終了(2025年3月31日)→ Connection String へ移行必須
Terraform で管理している場合、移行が destroy/recreate になってデータロスを招くパターンがあります(azurerm 3.49 以降で回避可能)。ここは事前にプランを確認しておくと安全です。
Azure Automation#
runbook 運用をしている環境は、ここが一番の地雷原です。
- Run As アカウントは廃止(2023年9月30日)→ Managed Identity へ
- Agent-based の User Hybrid Runbook Worker は廃止(2024年8月31日)→ Extension-based へ
- 2025年4月1日以降は Agent-based でのジョブ実行が停止
- AzureRM PowerShell モジュールは廃止(2024年2月29日)
- 2025年2月1日以降、AzureRM を使う runbook は実行停止
- 古い runbook は Az モジュールへ書き換えが必要
- Update Management / Change Tracking(Log Analytics 版)は廃止(2024年8月31日)→ Azure Update Manager と AMA 版へ
- PowerShell 7.2 runbooks が GA
「昔書いた runbook がそのまま動いているはず」という前提が一番危ないので、モジュールの世代を先に確認しましょう。
Azure Cache for Redis#
- Basic / Standard / Premium は廃止予定(2028年9月30日)
- Enterprise tier は廃止予定(2027年3月30日)
- 後継の Azure Managed Redis が GA
- Memory Optimized / Balanced / Compute Optimized / Flash Optimized の4 tier
- Redis Enterprise ベース、ベクトル検索対応、最大 99.999% SLA
- 旧サービスより高性能・低コスト
- TLS 1.0/1.1 のサポート終了(2024年10月1日)→ TLS 1.2 必須
廃止は少し先ですが、新規構築なら最初から Managed Redis を検討する場面です。
Azure SQL Database#
- Hyperscale Serverless が GA(2024年)
- 負荷に応じてコンピュートが自動スケール。Hyperscale の拡張性 + サーバレスのコスト効率
- Hyperscale の最大サイズが 128 TB に拡張、log rate 150 MB/s、Elastic Pools 対応
- serverless の auto-pause delay 最小値が15分に短縮
- AI 関連の大幅強化
- JSON data type、ベクトル型、ベクトル検索(DiskANN ベース)、Azure OpenAI 連携
- Copilot in Azure SQL Database で自然言語 → SQL
App Service#
- App Service Environment v1/v2 は廃止(2024年8月31日)→ v3 へ
- Premium v4 (Pv4) plan が public preview(2025年5月、Windows/Linux 両対応)
- Sidecar 機能(Linux)が GA(2024年11月)→ AI モデルや補助コンテナを横付けできる
- 自動スケーリングの改善、Cobalt(ARM)ベース VM 対応
軽め(要点だけ)#
Key Vault#
- Managed HSM が GA
- RBAC(access policies からの移行)がデフォルト推奨に
- 証明書ローテーションの自動化、Private Link 対応の強化
Blob Storage#
- Lifecycle management の粒度向上
- Cold tier 追加(Hot / Cool / Cold / Archive)
- Object replication の拡張、SFTP 対応 GA
- Vaulted backup(不変バックアップ)
Azure DNS#
- 大きな破壊的変更は少なめ
- Private Resolver(旧 Private DNS Zone とは別の再帰DNSサービス)が GA
- エイリアス対応の拡張
久しぶりの復帰で踏みやすい"地雷"#
改めて、離れている間に踏みやすいポイントを並べておきます。
- 既存 runbook が AzureRM のまま動いていないか — 2025年2月以降は動かない
- App Insights の Instrumentation Key → Connection String 移行
- Hybrid Runbook Worker が Extension-based になっているか
- Application Gateway V1 が残っていないか — すでに廃止期限を迎えている
- Azure AD の呼称・PowerShell モジュールの世代 — 新旧混在に注意
復帰時にやったチェックリスト#
- 対象リソースに廃止対象サービスが残っていないか棚卸し
- Terraform コードの
azurermprovider バージョン確認 - runbook の Az モジュール対応状況を確認
- Application Gateway V1 が残っていれば移行計画
まとめ#
久しぶりに触ると「サービス名が変わっている」「モジュールが廃止されている」あたりで最初につまずきます。 機能追加は後から追えばよくて、まず廃止・移行系を潰しておくと、既存環境がある日突然動かなくなる系の事故を防げるというのが今回の学びでした。
繰り返しですが、廃止日は動くので、移行判断の前に公式ドキュメントで最新を確認してください。